健康志向の高まりとともに、玄米の人気が上昇しています。玄米は白米と比べて炊き方が難しいため「炊くのが難しく、おいしく食べられない」と悩む方は多くいます。実際、玄米の炊き方を間違えると、玄米の持つ栄養やおいしさを十分に引き出せず、食感も悪くなりがちです。
この記事では、忙しい社会人でも簡単に実践できる玄米のおいしい炊き方を詳しく解説します。記事を読めば、誰でも失敗せずに玄米を炊き、毎日の食事に無理なく玄米を取り入れられます。玄米をおいしく炊くには、適切な浸水時間と水の量が鍵です。
玄米はしっかり浸水させ、白米より多めの水で炊くことで、ふっくらと柔らかい食感に仕上がります。
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玄米の基礎知識

玄米は独特の風味がありますが、健康管理として取り入れる価値のある食品です。玄米の基礎知識について、以下の2点を解説します。
- 玄米の栄養価と健康効果
- 玄米と白米の違い
玄米の栄養価と健康効果
玄米は栄養価が高く、健康維持に役立つ優れた食材です。玄米は白米と比較して多くの栄養素が含まれ、日常的に摂取すれば、さまざまな健康効果が期待できます。玄米は、食物繊維が白米の約5倍含まれており、便秘解消や腸内環境の改善に効果的です。
玄米には、ビタミンB1やB2、Eなどが豊富で、疲労回復や抗酸化作用があります。他にもマグネシウムや鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれており、貧血予防や免疫力向上に効果的です。玄米に含まれるGABAには、ストレス軽減や血圧を下げる作用があります。
玄米は食後の血糖値の急上昇を抑える低GI食品で、糖尿病予防やダイエットにおすすめの食材です。噛み応えがあるため、満腹感が得られやすく、食べ過ぎを防止します。玄米は白米よりもタンパク質含有量が約15%多いため、筋肉を維持するのにも効果的です。
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玄米と白米の違い
玄米と白米の最大の違いは、精米の程度です。玄米は、米の外皮(糠層)と胚芽が残った状態の米で、白米は外皮と胚芽が精米工程で取り除かれます。精米の違いが栄養価や食感、調理方法に影響を与えています。玄米は白米より調理時間や浸水時間が長い点が特徴です。水分量の調整も白米より難しいとされます。
玄米の保存期間は白米より長く、適切に保存すれば1年程度は持ちます。玄米は長期保存できる点で、白米より便利です。消化の面では、玄米は白米より消化に時間がかかるため、胃腸が弱い方は注意してください。
玄米のおいしい炊き方

玄米は正しい手順で炊けば、おいしく食べられます。玄米のおいしい炊き方について、以下のステップで解説します。
- 計量する
- 洗う
- 浸水させる
- 炊飯する
- 蒸らす
計量する
玄米をおいしく炊くには、正確な計量が重要です。玄米1合は約145gで、白米1合(約150g)とは異なるため、専用の計量カップを使用しましょう。一人暮らしの場合、1食当たり0.5〜1合が目安ですが、時間節約のために2〜3合をまとめて炊くと便利です。
玄米を炊く際は、計量カップにすり切り一杯入れて量ると、正確に計量できます。計量カップがない場合は、キッチンスケールを使用しましょう。玄米の計量後は、小石や籾殻などの不純物を取り除くことも忘れないでください。
洗う
玄米は白米よりも硬く、表面に栄養分や糠が多く残っているため、丁寧に洗う必要があります。洗い方のポイントは以下のとおりです。
- 優しく手のひらでかき混ぜる
- 最初の研ぎ汁は素早く捨てる
- 2〜3回水を替えながら洗う
- 水がほぼ透明になるまで繰り返す
玄米を洗う際、最初の研ぎ汁は特に汚れが多いため、すぐに捨ててください。玄米を洗う場合、力を入れすぎず、米同士が擦れ合うように洗います。あまり強く洗いすぎると玄米の栄養素が流れ出てしまいますが、最低2回は洗いましょう。時間や手間を省きたい場合は、洗米ネットを使うと効率的に洗えます。
洗い終わったら、玄米をザルにあげて水気をしっかり切りましょう。
浸水させる

玄米をおいしく炊くには、浸水が最も重要なステップです。玄米は白米と比べて硬いため、十分に水を吸わせることで柔らかく炊き上がります。玄米の理想的な浸水時間は8時間以上ですが、最低でも2〜3時間は浸水させましょう。
時間に余裕があれば、一晩(6〜12時間)浸水させると、より柔らかく食べやすい玄米に仕上がります。玄米を炊く際は、季節や気温によって浸水時間を調整するのも大切なポイントです。夏場は気温が高いため、やや短めの浸水時間でも問題ありません。一方、冬場は気温が低いため、長めに浸水させましょう。
夏場に玄米を長時間浸水させる場合は、雑菌の繁殖を防ぐため冷蔵庫で保管してください。浸水時の水の量は、玄米の1.5〜1.8倍が目安です。玄米がしっかり水を吸収できるよう、十分な水量を確保しましょう。玄米の浸水時間を短縮したい場合は、40℃程度のぬるま湯で浸水させると2時間程度で済みます。
玄米の浸水時間が足りないと、硬く消化しにくい仕上がりになるため注意が必要です。
炊飯する
正しい方法で炊けば、玄米本来の風味や食感を最大限に引き出すことが可能です。玄米は白米と比べて炊飯時間が長く、一般的に白米の1.5〜2倍の時間がかかります。以下の調理器具別に玄米の炊き方を解説します。
- 炊飯器の場合
- 圧力鍋の場合
- 土鍋の場合
炊飯器の場合
玄米を炊くには、炊飯器が最も手軽です。玄米専用モードがある場合は、設定に従いましょう。専用モードがない場合は、白米を炊く際の1.2~1.3倍の水量で玄米を炊いてください。
白米より30分~1時間程度長く炊飯に時間がかかるため、時間に余裕を持って準備しましょう。炊き上がったらすぐにかき混ぜるのではなく、10〜15分ほど蒸らすことで、粒がふっくらとしておいしくなります。
圧力鍋の場合
圧力鍋を使うと、短時間で芯までふっくらとした玄米が炊けます。玄米と水の割合は、1:1.5~2が適切です。圧力鍋を使った玄米の炊き方は、以下のとおりです。
- 蓋を閉めて強火で加熱する
- 圧力後は弱火で15〜20分炊く
- 自然減圧で約10分待機する
- 圧力が完全に下がってから開封する
圧力鍋のメリットは、通常の炊飯器よりも玄米の浸水時間を短縮できる点です。玄米の一般的な浸水時間は8時間以上ですが、圧力鍋なら3〜4時間程度でも柔らかく炊き上がります。玄米の炊き上がりが硬いと感じる場合は、水の量を少し増やすか、圧力をかける時間を延長してください。
土鍋の場合

土鍋で炊けば、香り高いおいしい玄米を楽しめます。土鍋の遠赤外線効果で、玄米でもふっくらとした食感が得られます。土鍋で炊く場合は、玄米と水を土鍋に入れ、30分以上しっかり浸水させましょう。水の量は玄米の1.5〜2倍を目安にしてください。
土鍋を使って玄米を炊く手順は、まず強火で沸騰させます。沸騰したら、中火~弱火にして、15~20分炊いてください。吹きこぼれに注意しながら待ち、沸騰する音が止まったら火を止めてください。火を止めた後は10〜15分蒸らしましょう。
蓋と土鍋の間に清潔な布巾を挟むと、余分な水分を吸収し、仕上がりが良くなります。土鍋の特性を活かして玄米を炊くには、弱火でじっくり炊くことがコツです。時々様子を確認して焦げ付きを防いでください。
蒸らす
玄米をおいしく仕上げるための最後のステップが「蒸らし」です。炊き上がった玄米は、すぐに蓋を開けずに10〜15分間そのまま放置しましょう。玄米を蒸らす工程の目的は、炊飯中に生じた水分を玄米の粒全体に均等に行き渡らせることです。蒸らしをしっかり行わないと、水分ムラができて、玄米の食感が不均一になります。
炊飯器の「玄米モード」では、自動で適切な蒸らし時間が設定されます。
玄米がおいしくなる炊き方

玄米をおいしく炊くには、コツがあります。ちょっとした工夫で、玄米のおいしさが格段に向上する2つの方法を紹介します。
- 塩を少量加える
- 蒸らし時間を長くする
塩を少量加える
玄米の味を格段に向上させる簡単な方法は、少量の塩を加えることです。米1合に対して、小さじ1/8程度の塩を加えるだけで、玄米本来の甘みが引き立ち、よりおいしい玄米が炊き上がります。塩を加える理由は、以下のとおりです。
- 玄米特有の香りが和らぎ、食べやすくなる
- 塩のミネラル成分が米の味を引き立て、甘みを強調する
浸水時に塩を加えると玄米の芯まで味が浸透します。天然塩やミネラル豊富な塩を使うと、より風味が良くなります。塩を加えることで米の硬さも調整されるため、ふっくらとした食感に仕上げるのに効果的です。
蒸らし時間を長くする
玄米を炊いた後、10〜15分程度しっかりと蒸らすことで、格段に味と食感が向上します。蒸らし時間を長くすれば、玄米の中まで水分が均等に行き渡ります。蒸らし不足だと玄米の中心部分が硬いまま残り、外側がべたついてしまうため、最低でも5分は蒸らす時間を確保しましょう。
玄米の量が多い場合は、蒸らし時間をさらに長めに取ってください。蒸らし時間を十分に確保すれば、玄米本来の旨味と甘みが引き出され、栄養価の高いおいしい玄米を楽しめます。
玄米を炊くときによくあるトラブルと対処法

玄米を炊くときによくあるトラブルは以下のとおりです。
- 固く炊き上がる
- べちゃべちゃになる
- 香りが気になる
玄米をうまく炊けない人やこれから玄米に挑戦しようと考えている方は、対処法を参考にしてください。
固く炊き上がる
玄米が固く炊き上がる主な原因で最も多いのが、浸水時間不足です。玄米は白米と違い、最低でも3時間、できれば8時間以上の浸水が必要です。朝食用なら前日の夜に、夕食用なら朝に浸水を始めましょう。水の量も重要なポイントです。玄米は白米より多くの水が必要で、1.2〜1.5倍の水量が適しています。
炊飯方法にも注意が必要で、通常の白米コースでは加熱時間が足りないため、玄米専用コースを使いましょう。圧力鍋や圧力炊飯器を使うと、より柔らかく炊き上がります。古い玄米を使っている場合も固くなりやすいため、なるべく新しい玄米を使ってください。
べちゃべちゃになる

玄米がべちゃべちゃになる原因は、水分量が多すぎるためです。玄米の正しい水加減は、白米の1.2〜1.5倍程度です。浸水時間が長すぎると、玄米が水分を吸いすぎて、べちゃつきの原因になります。洗米時に強くこすりすぎると玄米の表面が傷つき、水分を過剰に吸収してしまいます。
炊飯器に玄米モードがない場合は、何度か試して自分の炊飯器に合った水加減を見つけましょう。
香りが気になる
玄米特有の香ばしさや独特の匂いが苦手だと感じる方は多くいます。玄米の香りの原因は、玄米に含まれる油分や外皮のぬか層です。玄米の香りを和らげるには、洗米時や浸水時に以下のポイントを実施してください。
- 十分な水ですすぐ
- 浸水中に水を入れ替える
- 少量の塩を加える
- 炊飯前に軽く炒る
玄米の炊飯時に昆布を一緒に入れたり、緑茶を少量加えたり、雑穀や麦を混ぜて炊いたりするのも効果的です。玄米の保存方法も香りに大きく影響するため、適切に管理してください。玄米は油分を含むため、保存状態が悪いと酸化して油臭くなる場合があります。
酸化を防ぎ、他の食品の臭いが移らないよう密閉容器に入れて冷暗所で保管してください。古い玄米は香りが強くなる傾向があるため、できるだけ新しい玄米を使いましょう。玄米が炊き上がった後も、香りの対策は可能です。炊きあがった玄米に、レモンやハーブを少量添えると、気になる香りを和らげられます。
まとめ

玄米は栄養価が高く、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で健康に良い食材です。玄米の正しい炊き方を覚えれば、誰でも簡単においしい玄米を楽しめます。おいしい玄米を炊くためのポイントは、玄米を正確に計量することです。計量した玄米を丁寧に洗い、十分な浸水時間(6~12時間)を確保しましょう。
水の量は白米より1.2~1.5倍多めにするのがコツです。玄米は炊飯器や圧力鍋、土鍋などで炊けます。炊き上がったら15~20分しっかり蒸らしましょう。玄米に少量の塩を加えると風味が良くなります。炊きあがった玄米が固すぎる場合は、浸水時間や水量を増やしましょう。
逆に、べちゃべちゃになる場合は水量を減らして、調整してください。時間がない方は、週末にまとめて炊いて冷凍保存すれば、平日でも手軽に健康的な食生活を送れます。